高校数学と大学数学の違い

どうもこんにちは。さんさんと申します。現在、某国立大学の3年生で、大学では数学と教育学を勉強しています。大学卒業後は純粋数学で院に進学するべく、日々勉強しています。

 

今日は記念すべき初ブログを執筆します。

 

テーマは私が考える「高校数学と大学数学の違い」についてです。

 

一応私は大学の数学科に所属しています。そのため、学科の友人はみんな高校の数学が好きで、得意だった人たちがほとんどです。しかし、3年生となった今では、大学の数学をまともに勉強しているのは残念ながら自分一人だけです。。。

 

最初は、周りの人たちがだんだん勉強しなくなるのをみて、「みんな数学をやりに来たんじゃないの?!」と、憤りすら覚えていました。

 

しかし、雑誌やネットの情報を見ていくいちに、どうやらこの「高校数学を好きだった人が、大学数学でドロップアウトする」という現象は、うちの大学に限ったことではないらしい、ということを知りました。

 

なぜ、このようなことが起こってしまうのか。それは高校数学と大学数学では要求される能力に決定的な違いがあるからです。それはずばり、

 

高校数学→「若干の厳密性は無視して」「素早く」「アウトプットする」

大学数学→「超厳密に」「じっくり」「インプットする」

 

という違いです。この3つのポイント

  1. 厳密性
  2. スピード感
  3. アウトプットとインプット

について一つずつ簡単に解説していきます。

 

1,厳密性

高校生の方からしたら耳を疑うかもしれませんが、大学の数学をしっかり勉強すると、高校数学は超テキトーです(笑)。正直例は挙げればきりがありませんが、例えば以下の質問に答えてみてください。

 

  • 「点と直線の距離の公式」は証明できますか?
  • ベクトルの係数比較をするときに「一次独立(線形独立)だから~」と書きますが、これはどうしてですか?
  • 恒等式の代入法では、係数が求まった後に「逆にこれらの値を代入すると~」と書きますが、これはなぜですか?
  • 数Ⅲで習った「中間値の定理」や「平均値の定理」は証明できますか?

 

もちろん、これらの質問に答えられないことがダメだと言っているわけではありませんよ。むしろこれらの質問すべてに高校生が答えたら、若干引きます(笑)。そういう人はぜひ大学の数学科に来てください(笑)。

 

今見たように、高校の数学では結構な部分を「感覚」や「ルール」で済ませてしまっていることが多いんです。そしてこのルールさえ守っていれば、たとえ理解していなくとも、テストの点数は入ります。そのため、どうしても高校の数学では、厳密な議論を後回しにしてしまうんですよね。

 

それに対して、大学の数学は、この高校数学で曖昧だったところを、徹底的に厳密に議論します。定義や公理といった「ルール」は必要最低限にして、あとはとにかく「論理の力」(正確には「述語論理」といいます)を使って話を進めていきます。

 

この「厳密性」というギャップが、大学数学でドロップアウトしてしまう人が続出する、大きい理由の一つでしょうね。

2,スピード感

高校の数学は主に「試験のための数学」です。試験ですから当然「制限時間」がありますよね。つまり、高校の数学では、一問にそこまで時間をかけず、パッパッと問題をこなしていく必要があります。

 

それに対して大学の数学では「試験のための数学」という要素が非常に少なくなります。もちろん大学の授業によっては、試験によって成績を決めることもあると思いますが、それがメインの勉強ではありません。

 

ではなにがメインの勉強かというと、それは「本を読むこと」です。それも数学書というのは、普通の本のようにぺらぺらページをめくって読むようなものではありません。紙と鉛筆を用意して、1ページ1ページをなめるように、丁寧に読んでいきます。

 

さらに問題を解くときも、大学数学の問題には答えがついてないことが多いです。そのため、わからなかったときは一日でも一週間でも、同じ問題を考え続けることになります

 

そう、皆さんお気づきのとおり、大学の数学はとにかく時間がかかるんです。高校の時と違って、まさに「じっくりゆっくり」進んでいくことが大切になります。

 

遊びやバイトで忙しい大学生にとっては、この「数学を勉強する時間がとれない」ということも、ドロップアウトの一因となっているかもしれないですね。

3,インプットとアウトプット

さきの項目でもお話ししましたが、高校数学は「問題を解く」というアウトプット中心なのに対して、大学の数学では「本を読む」というインプット中心の勉強になります。

 

そして、「高校の数学が好き!」という人のほとんどは、自分の持っている知識をアウトプットするのが好きなのです。しかも、高校数学でインプットすることは大学数学に比べるとかなり少ないです。それは両者の教科書の厚さを比べれば一目瞭然です。実際、大学数学は本を開くと定義、定理、公理、補題のオンパレードですからね(笑)。

 

つまり、高校数学は「少ない知識でたくさん問題を解く」のに対して、大学数学では「じっくり本を読んで、ちょっと問題解いてみる」といった勉強法になるため、そのインプットとアウトプットの比率が見事に逆転します。

ここで一応言っておくと、大学数学において、問題を解くことが重要ではないといっているわけではありませんよ。もちろん問題を解くことで、より定義や定理が、自分の血となり肉となりますから。ここで言いたいのはあくまでも、「問題を解くことがメインではない」ということです。

 

ただいずれにせよ、大学数学では本を読んでインプットすることが重要なのは間違いありません。このように、高校数学ではと大学数学では、インプットとアウトプットという点で、そもそもの勉強の仕方が根本的に違うということですね。

 

まとめ

みなさん、高校と大学の数学の違い、おわかりいただけましたか?読んでくださった方たちの中には、「大学数学は難しそう。。。」と感じた方もいるかもしれません。

たしかに簡単ではありませんが、私のように、大学数学にどっぷりはまっている人が一定数いるのも事実です。それだけ魅力的な学問であることは間違いありません。

 

この記事が、大学数学に興味を持ったり、勉強の仕方を見直すきっかけになれば幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。